このページでは、プッペンハウスヨシノ発行の機関誌プッペンハウスニュース
(休刊中)の毎号表紙で連載されていた所蔵品紹介を掲載します。
<このページは定期的に更新していきます>
金物をメインに商う木製品やガラスもありまする、いわゆる荒物屋である。
背面の戸棚は3つに分かれ手前のテーブル同様取り外せる。いずれの彫刻もかな
り凝ったものだがドールハウス専門職人の技とも思えない。あてずっぽのようで
いて、そのじつ見事にまとめられた刃物の使い方は素人のものではないが、商品
として器用にまとめられてもいない。おそらく量産品ではなく注文品、想像すれ
が荒物屋の主人が出入りの職人にでも頼んだか、あるいは腕に覚えのあった主人
の自作でもあろうか。いずれにせよこの店と木に対する愛着が感じられる仕上が
りである。 年代の推定は英国の鑑定家によるものだが、両側の棚の下部の模様
をアール・デコと判断するなら制作年は十年程下がる。ほかの模様はご存じアー
ル・ヌーボー様式。 なお、人形は後で加えられてものである。耳にピアスの穴
がある、ちょっとしゃれた婦人は(それが理由ではないが)おそらくフランスで
はないかと思われる。服装の程度の良さはとても店員には見えない。 (プッペンハウスニュース 1993年9月 2号より) |
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金物屋(荒物屋) 1910年頃ドイツ又はオーストリー 高70cmx幅53cmx奥行45cm |