05:
「2回連続でいいところで終わってしまって、今回はそうはいきませんよ!」
師匠:
「いやー申し訳ない、ついついやってしまった。でも今回で下塗り編は
終わろうと思っているぞ。」
05:
「先回は白い下塗りを使用するとプラスチック独自の透明感が
なくならないじゃないですか、って所で終わってましたよ。」
師匠:
「そうだった、そうだった。ここからは私がふだんやっている
方法なので他の人はもっと違う方法かもしれないぞ、その点だけを
注意してくれ。」
05:
「解りました、それじゃ師匠の方法とは?」
師匠:
「私は透明感の高いプラスチックの場合、まずは黒かそれに近い塗装してしまう。
黒は最も透明感の無い塗料だからな。そして、その上に更に
グレーや白のプライマーを塗装する。それから上塗に取りかかるのだ。」
05:
「それじゃ、塗膜がめちゃくちゃ厚くなって実感がなくなるんじゃ無いですか。」
師匠:
「この工程はエアブラシ(注1)を使うと簡単に実現できる工程なのだ。
もしも塗膜が厚くなりそうな場合には光で透けるような所、特にプラスチックが
薄いようなエッジ部分だけを黒く塗ることもある。」
05:
「エアブラシがないと難しいんですね、はあ〜、
エアブラシみたいに高価なもの簡単に買えないし、使い方も難しそうだし・・」
師匠:
「手っ取り早い方法としてはカンスプレーを使う方法もあるが、やはり
塗膜が厚くなりがちだ。細かい模様(モールド)を持つものなんかは
つぶれるおそれがあって難しいかもしれないな。
もし張り合わせるようなもので表と裏があるようなものならば
裏から黒を塗装すると言う手もある。」
05:
「カンスプレーならできそうだな。でも、上塗が黒に近いような明度の
場合はあまり必要ないんでしょう?」
師匠:
「そう、そういうところは臨機応変に対応するのがベストだ。
無責任な様だが、私とて試行錯誤の点もあるのだ。
自分がどのような表現をしたいのかによって、
上塗の色だけではなく下塗りも変える必要があると思う。」
05:
「そういえば、一度塗装した所とプラスチックそのままの所に
同じ色をかけたのに下地の感じが異なって質感が違ったことがありました!」
師匠:
「そう、下塗りを塗った後、そのままにしておくのが良いのか、あるいは
サンドペーパーできれいに下地処理した方がいいのか、などはこの典型で
何を表現したいのかで処理が大きく変わってくるだろう。」
05:
「結構、下塗りもいい加減にできないんですねぇ」
師匠:
「そのとおり!下塗りといって侮ることなかれ!だ」
(つづく)
注1:エアブラシとは
美術関係でよく使う超小型ハンドスプレーと考えると良い。
ハンズなどでも販売している。超微細なボカシ線からある程度の
大きさの面の塗装に適する塗装機器。市販の缶スプレーでは飛沫粒子の
大きさや塗装範囲など自由が利かないがエアブラシならかなりの
自由度がある。(当然だが色も変えられる)
ボカシのためだけだと考えられそうだがそんなことはなく、
小物の塗装には最適である。
よく筆塗りと比較する人もいるが、私は筆塗りとは表現方法が
違うと考えており、どちらに優劣があるとは言えないと思っている。
ただ、私がエアブラシを勧める理由は、高価で難しいと思われる
エアブラシが実は筆塗りよりも初心者むけであること、
そして使い方次第ではかなりの表現力を持つことからである。
何より塗装の基本−薄く、何層も塗ること−に最も適した
機器であるからだ。
(もちろん、筆塗りも根気と熟練によってすばらしい表現力を持つ。)
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